放送禁止用語連発、トンデモ展開、なんでもアリな昭和30年代から40年代の貸本漫画が面白い
このところ、昭和30年代から40年代の貸本漫画をよく読んています。
放送禁止用語連発、トンデモ展開、内容が理解できない、1巻で終わらない詐欺など なんでもアリな感じがおもしろいです。
タブーなし?
貸本漫画は今のように雑誌に掲載されたものをコミック化したものではなく、はじめから貸本漫画としてリリースするために書かれた漫画です。
雑誌に掲載される場合は広告や諸々の都合で内容がマイルドになりがちですが、貸本漫画はそれがありません。
汚い言葉も言いまくりですし、特定の商品を中傷したり、キャラクターのパクリ(パロディーとも言えないようなガッツリとしたパクリ)などもザラです。特にアメリカのアニメキャラはよくみます。
時代性というものも大いにあるのでしょうが、やはりフリーダムな場所だったようです。
トンデモ展開
残りページ数が少なくなってきているのに全然話が展開せず、どう考えてもあと5ページでは終わらせられないよな と思っていると、いきなり爆発して終わったり、スパっと話を切り上げてミステリアスな感じを無理やり演出してみたりなど、トンデモ展開が面白いです。
貸本漫画は全盛期は人気がありすぎて供給が追いついていない状態だったそうで、絵がうまいからという理由だけで貸本漫画を書いている人も多かったそうです。
そのため、ほぼ素人が経験もなく漫画を書くわけですからこういったトンデモ展開が多く作られたのではないかと思っています。
内容が理解できない
上述のように、ほぼ素人のような人が描いている作品も多いですので描写が稚拙で何が起きているのか分からないこともあります。
登場人物の顔が似すぎていたり、説明のないまま話が展開したりとじっくりと読んで推測しないといけない場合も多いです。
しかし、そのような点もなぜか愛しく思えてしまうのが貸本漫画の魅力です。
1巻で終わらない詐欺
貸本漫画はほとんどの場合1巻で完結します。
おそらく、貸本漫画という媒体の都合上、巻数が多くなると借りられにくくなるため1巻完結にしているのだと思います。
しかし、時々「1巻」や「上巻」などの記載がなく、あたかも1巻で完結しそうなパッケージなのに続き物の場合があります。
しかもタイトルまで違ったりすることもあります。
出版社も何とか借りてもらおうと色々と工夫していたのでしょう。
マイナーな貸本漫画は発行部数も少なく、現在では見つけることが難しくなっている場合も多いですので、私が持っている本の中でも続きが気になって仕方がないものがたくさんあります。
▲ 1巻で完結しそうな雰囲気だが…
▲ めちゃめちゃイイ所で終わる
▲ そして続きの告知ページが…
それでも面白い!
でも、こんなハチャメチャな感じが何とも面白いのです。
例えば、大倉明の「ゴーゴーで行こう」という作品があります。
小学生の女の子が教師の親戚の仕事を斡旋して芸能関係のお偉いさんに取り行って、ヤクザをボコボコにして(ゴリラも出てきて)テレビに出演する
という字面だけ見ると「なんのこっちゃ!?」という内容ですがそのハチャメチャ感が新鮮で楽しいです。
色々な事を実験的に表現できる自由な空間は今のインターネットの世界に似ていると思います。
貸本漫画はそういう表現のカオスのようなものを見れて楽しいですよ。
▲ こういう貸出リストみたいなものが残っていると なお萌える。
▲ アゴ長げぇ!