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福岡市文学館(赤煉瓦館)周辺を江戸時代までタイムトラベル

以前にこちらのイベントでお話させていただいたネタですが、せっかくなのでブログの方でも残しておきたいと思います。

福岡市文学館(赤煉瓦館)周辺は古写真や古地図、絵図などがたくさん残されています。

資料がたくさんあるので現在から江戸時代ぐらいまでを、時間を追ってさかのぼることができます。


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▲ 福岡市の方であればみなさんご存知かと思いますが、場所はこちらです。

この赤煉瓦が美しい建物です。

現在は福岡市文学館として文学に関する資料などを展示している場所ですが、もともとは1909年(明治42年)に、旧日本生命保険株式会社の九州支店として作られた建物です。

もう100年以上も前の建物なんですね!

ところでみなさん、この建物って東京駅にそっくりだと思いませんか?

▲ こちらが東京駅です。

全体のテイストがとても似ていますね。

それもそのはず。実は福岡市文学館と東京駅は どちらも辰野片岡建築事務所という建築事務所がデザインしたものなのだそうです。

同じ人がデザインしたのだったら似ていて当然ですね!

昭和、戦時中の様子

▲ まずは戦時中にさかのぼってみます。

こちらの1944年(昭和19年)に作成された映画「陸軍」のラストシーンで赤煉瓦館が登場します。

動画の3分50秒付近に西中島橋からのアングルで写っています。

動画を見ていると、当時の昭和通りの様子なんかもわかって感動します。

大正時代の様子

▲ 次は大正時代ぐらいの様子を見てみましょう。

赤煉瓦館の向かい側に写っている建物はおそらく県会議事堂です。


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▲ ストリートビューで同じアングルで見るとこんな感じです。

当時は大きな建物だったはずの赤煉瓦館が今では小さく感じますね。

明治時代の様子

▲ 次は明治時代にさかのぼってみます。

赤煉瓦館の向かい側(右側)にある緑色で着色された建物は福岡郵便局です。

まだ馬が走っていたりしたようですね。赤煉瓦館の右側に小さく写っているのがわかります。


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▲ 同じアングルはこんな感じです。

昔は橋の真ん中を普通に人が歩いていたようですが、今では車の交通量がはげしいのでとても歩けませんね。

明治中期の様子

▲ こちらは明治初期の様子です。まだ赤煉瓦館がありません。(※写真は「想い出のアルバム・博多、あの頃―明治・大正・昭和を綴る/葦書房」より引用)

西中島橋もまだ木製の橋ですね。

▲ そしてこちらは逆に赤煉瓦の場所から西中島橋を見た様子です。

黒い群衆が橋の上にいるのが見えますが、こちらは1905年(明治38年)の日露戦争への凱旋風景だそうです。

明治初期の様子

▲ 明治初期になると、この場所にはまだ枡形門とよばれる福岡城下に入るための大きな門と石垣が残っていました。

西中島橋も木製の貧弱な作りにみえますが、これは万が一 福岡城下に攻めこまれそうになった時には橋を破壊して入ってこれないようにするために あえて弱い作りにしていたのだそうです。

江戸時代、幕末の様子

▲ 古地図で見ると、どのあたりが赤煉瓦館の場所か分かりますか??(※ 地図は「古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み」【海鳥社 宮崎 克則、福岡アーカイブ研究会 編】より引用)

▲ 先程、明治初期の古写真に写っていた枡形門がある場所が現在の赤煉瓦館の場所です。

枡形門から道をはさんだ向かい側には「牢屋」と書かれています。こんなところに牢屋があったのですね!

赤煉瓦館の少し南にアクロス福岡がありますので、アクロス福岡の場所は侍屋敷だったようですね。

▲ 旧稀集という古文書には福岡藩の藩士が幕末期に福岡藩境を防備するために出兵する様子が描かれています。(※ 絵図は「古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み」【海鳥社 宮崎 克則、福岡アーカイブ研究会 編】より引用)

藩士が出てきている門の部分がまさに赤煉瓦館の場所です。

江戸時代までさかのぼるとこんな様子だったのですね。

こんな感じで色々な資料を複数見ることで、まるでタイムスリップするかのように時代をさかのぼっていくことができます。

他にも同じようなことができそうな場所がいくつかありますので、また今度書いてみたいと思います。

【参考文献リスト】
古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み(海鳥社 宮崎 克則、福岡アーカイブ研究会 編)
想い出のアルバム・博多、あの頃―明治・大正・昭和を綴る (1977年)

Y氏(山田全自動)
ふるほん住吉店主:Y氏(山田全自動)
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福岡で古本屋「ふるほん住吉」の店主をしつつ、ブロガー/イラストレーター/執筆業などをしながら自由気ままに暮らしています。著書:福岡路上遺産(海鳥社)、福岡穴場観光(書肆侃侃房)、山田全自動でござる(BOOKぴあ)など
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