【姪浜】宿場町・寺社仏閣・みのもんた?とにかく見どころの多い姪浜の旧街道を歩く
福岡市西区の姪浜。江戸時代に宿場町があったり、炭鉱町だったり、何かとネタの多い街です。
炭鉱については「古写真で探る 姪浜炭鉱の痕跡」で記事にしていますが、現在は炭鉱の痕跡はほぼ残っていません。ですので、今回は旧唐津街道の姪浜宿を中心に歩いてみたいと思います。
▲ まず驚いたのが姪浜駅。
▲ 「姪浜デイトス」がいつの間にか「えきマチ1丁目」に名称が変わり、ものすごくキレイになっている!2014年(平成26年)7月に全面改装されたそうです。知らなかった。通勤・通学駅に姪浜駅を使っている人がうらやまましいです。
▲ Wikipediaの姪浜駅に昔の姪浜駅の写真がありました。かつてはこんなに小さかったのですね。
▲ 駅前のシンボルになっているのがこちらのモニュメント。荒波の中をうさぎがジャンプしています。これは姪浜にある興徳寺を開いた大応国師が宋で修行をした帰りに大嵐に遭遇し、船に乗っていたうさぎが龍となり嵐をおさめたという伝説に基づいたものだそうです。
てっきり抽象アートかと思っていたのですが昔ばなしにちなんだものだったのですね。
▲ そして北口にはこんなものが。おねがい地蔵と称された六地蔵が。六地蔵は生前の行いによって地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天上道のいずれかに行くという六道思想を示すお地蔵さんです。(たしかそういう感じだったと・・・)
駅から出て約10秒でなかなか考えさせられます。もともとこの場所にあったのでしょうかね??
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▲ 姪浜駅北口を北上して旧唐津街道、姪浜宿に向かいます。
▲ 唐津街道は小倉から唐津を結ぶ街道で、その道沿いの各地に宿場町が設けられていました。姪浜宿はその一つで、幕府の役人のための宿泊施設もあったのだとか。
ちなみに中央区付近の旧唐津街道はこちらで記事にしています。→ 旧唐津街道を幕末〜明治にタイムスリップした気分で歩く
▲ 今でも旧来の町並みを残していてなかなか風情があります。
▲ 昔は宿屋とか商店だったんだろうなぁと思える建物がたくさん残っています。
▲ 建物の間に「龍王館 入口」と書かれた案内板が!
▲ 奥に進んでいくと木々と古い家に囲まれた不思議な空間が広がっていました。
▲ かなり古そうな祠がひとつだけありましたが、説明板が無いのでこれが何なのかわかりません。
帰って調べてみると、なんとこれ先ほど姪浜駅前で見た例の「龍になったうさぎ」を祀っているものだそうです。→ 参考:福岡の歴史シリーズ(NO.11-14)
妙にスピリチュアルな雰囲気のある不思議な場所でした。
▲ 白壁の建物が点在していて見ていて飽きません。
▲ 今は埋め立てで海岸線は少し遠くなっていますが、かつては漁師町としても栄えていたそうです。また、製塩も行われていたのだとか。
▲ 窓がたくさんある特徴的な建物が!元々は何に使われていたのでしょうかね?
▲ 寺社仏閣が多いのも姪浜の特徴です。福岡城の周辺は河川沿いや海岸線沿いがお寺で固められています。これは福岡城の防衛のためだと言われていて、博多の御笠川沿い、大手門、長浜、唐人町など敵の侵入の可能性がある場所にお寺を配置し、いざ戦となった場合には陣を築けるようにしていたそうです。
もしかしたら姪浜もそういった目的があったのかもしれませんね。
▲ あと、姪浜は全体的に妙に仏像が多い気がします。
▲ 今度、姪浜の仏像をコンプリートしてみようかな。姪浜仏像図鑑とか作れそうです。
▲ こちらは「旦過だるま堂」。元々は興徳寺の「旦過寮」という宿泊施設があった場所で旅の僧たちが使用していたらしいです。
▲ 境内には妙にセクシーなポーズの仏像が。観音菩薩坐像?
▲ 堂の中には達磨大師像と、
▲ 元禄年間(1600年後半頃)に作られたという銅製の厨子(仏像などを収めるもの)がありました。元々、姪浜の住吉神社に奉納されていたものが明治時代の神仏分離政策の時にここに移設されたと考えられているそうです。
▲ こちらが姪浜の住吉神社。
▲ 境内にはカッパの像が多いです。
▲ これは姪浜の北部にある現在の小戸公園周辺でイザナギの神が禊(みそぎ=体を洗って清めること)を行ない、その際にカッパが道案内をしたという伝承にちなんだものです。でもこのゆるキャラ的なカッパは少し頼りないかも?笑
▲ 住吉神社では毎年7月に祇園河童祭が開催され、こちらのカッパのお面が売られます。厄除け、開運などなど色々効果があるのだとか。
▲ それと、もう一つ見逃せないのがこちらの鳥居。
▲ 柱を見ると「クイズ・ミリオネア記念(司会 みのもんた) 宮司 菊池友久 平成十八年七月吉日」と書かれていました。これは2005年に宮司さんがTV番組のクイズ・ミリオネアに出演しパーフェクトを達成し一千万円の賞金を獲得した際に建てられた鳥居なのだそうです。
そのため、姪浜の住吉神社は「ミリオネア神社」とも言われています。→ 「ミリオネア神社」の異名を持つ姪浜の住吉神社
みのもんた も まさか自分の名が神社の鳥居に刻まれているとは思ってもいないでしょう。
▲ 住吉神社横のレトロな時計屋さん。いい感じの店構えです。
▲ 姪浜は不思議と時計屋さんが多いですね。
▲ 今ではレアな時計がデッドストックで眠っていたりしそうです。
▲ 白毫寺(びゃくごうじ)というお寺を発見。「お寺めぐりの友」さんの白毫寺のページによると、「白毫」とは仏様の額にあるあの”点”のことなんだとか。ほくろっぽく見えますが実は白い毛なんだそうです。へぇ〜!
▲ この白毫寺の竹林からは十字架が出土していることでも知られています。かつて姪浜にはキリシタンの村があったと言われていて、その遺品が出土したのでしょうね。ちなみに「日本史」を編纂したイエズス会宣教師のルイス・フロイスも姪浜に一週間ほど滞在したそうです。→ 参考:博多のキリシタン史跡を紹介(白毫寺) カトリック福岡司教区ニュース
▲ けっこう大きな仏像もありました。やっぱり姪浜には仏像が豊富。
▲ 途中にあったコミュニティースペース(?)的なところに、
▲ このようなパンフレットが置かれていましたので ひとつ拝借。
▲ これがかなり凝っていて、地図あり解説ありで、今回かなり役立ちました。こういうのぜひ各地でやってもらいたいものです。
▲ 岡村屋というレトロなケーキ屋さんが。レモンケーキという商品が一押しのようです。今度買ってみよう。
▲ 岡村屋を東に進むと大通りと旧唐津街道が交差しています。
▲ 大通りを渡った場所にも昔ながらの町並みがもう少し続いています。
▲ 仏具店前にいた猫。
▲ 仏具店から姪浜小学校の裏道に入って行くと少し小高くなった場所があります。
▲ ここには探題塚と呼ばれるものがあります。
鎌倉時代に幕府が九州を統括するために鎮西探題という出先機関を設置していました。(参考 → 姪浜城は鎮西探題だったのか)「鎌倉幕府九州支所」のような感じですね。元寇でモンゴル軍が2回攻めてきて、2回とも奇跡的に防衛する事ができましたが、鎌倉幕府はおそらく3回目があるだろうと予測していて、今度攻められたらホントヤバイ!ということで九州の防備に力を入れていたというわけです。
しかし鎌倉幕府が滅びると鎮西探題も消滅。その後、室町幕府によって鎮西探題が九州探題として復興されました。この九州探題は防衛省的な働きだけでなく外務省的な役割も担っていて李氏朝鮮との外交も兼ねた機関だったのだとか。その九州探題も戦乱に巻き込まれ、大内氏の攻撃よって終焉を迎えました。
探題塚は最後の九州探題であった渋川堯顕が自害した場所(葬られた場所とも)とされています。
▲ 額束には「探題将軍」の文字が。
九州探題はこの探題塚の場所にあったとか別の場所にあったとか資料によってまちまちですので、実際の所はっきりしないのでしょう。ただ、複数の場所に拠点を築いていたということも十分考えられますので何箇所か九州探題別館みたいなものがあったのかもしれませんね。
ちなみにこの探題塚、何がどう解釈されてそうなったのか分かりませんが、痔(ぢ)が治るように祈願されたりもしているのだとか。お祀りされている渋川さんも「そんなの俺に言われても・・・」と思っているのかもしれません。笑
▲ それと、この探題塚近くの山には姪浜石と呼ばれる石を切り出す採石場があったのだそうです。
▲ そういえば旦過だるま堂にあった石塔が姪浜石を使っていると書かれていました。砂岩なので風化が激しいのだとか。室町時代に作られたもらしいでかなり古くから採石が行われていたのですね。
▲ あと、壁面にトンネルをコンクリートや煉瓦で塞いでいる箇所がありました。採石の際に使用していたものなのでしょうか?それとも防空壕跡?もしかしたら年配の方に聞いたらご存知かもしれませんね。
▲ ざっと2時間ほどで巡ってきた姪浜ですが、まだまだ見るべきポイントがたくさんあって全然回りきれていません。機会を見つけてもう一回ぐらい行ってみたいと思います。
今回姪浜を歩いてみて思ったのですが、かなり住みやすそう。駅構内にも駅周辺にも色々お店や施設があるし、福岡市内にも近いし、マリナタウンやマリノアシティも近い、西の方に行けば自然豊かな糸島もあるし、歴史まで面白いという。なんというか突っ込みどころが無いといいますか。個人的に姪浜最強説が浮上しています。もし次に引っ越すとしたら姪浜かな??
【参考サイト】
・福岡の歴史シリーズ(NO.11-14)
・お寺めぐりの友 白毫寺
・博多のキリシタン史跡を紹介(白毫寺) カトリック福岡司教区ニュース
・かわら版唐津街道姪浜まちづくり協議会 第三号
海鳥社
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