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【小倉】ビルの上に残る戦争遺跡 小倉ワシントンビル(旧かねやす百貨店)の屋上にある防空監視哨

小倉ワシントンビル(旧かねやす百貨店)の屋上に戦時中に防空監視を行っていた施設が残されています。[map addr=”福岡県北九州市小倉北区魚町3丁目1−10”]
▲ 場所はこちら。

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▲ 真ん中の白いビルが小倉ワシントンビル。

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▲ 正面玄関を見ると最近できたビルのように見えますが・・・

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▲ 側面から見るとかなりレトロ。

このビルは昔「かねやす百貨店」という百貨店だった建物でかつては小倉玉屋、井筒屋と方を並べる商業施設で、鉄筋コンクリートで7階建ての建物は、戦時中の小倉市内では最も高い建物でした。

そのため空襲に備えて空の監視を行うため、屋上に防空監視哨(ぼうくうかんししょう)が設置されました。

また、すぐ近くに小倉陸軍造兵廠(ぞうへいしょう)という武器工場があったことも関係していました。

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▲ 少しだけ見えている黒っぽいものが防空監視哨です。

現役の施設に防空監視哨が残っているのは非常に珍しく、大変貴重なものです。

普段は入ることはできませんが、今回特別に中に入って見せてもらうことができました。

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▲ 内装は非常にレトロ。現在はテナントビルとなっていますが、元百貨店ということもあり独特の雰囲気があります。

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▲ ドアもレトロでカッコイイです。

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▲ はじめて見る形の消火器。

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▲ 屋上に出ると稲荷神社がありました。昔の百貨店の屋上にはよく作られていますね。

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▲ 積み木のように建物が配置されています。

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▲ 防空監視哨に入るためには はしごを登っていく必要があるのですが、これが激怖・・・。

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▲ 年季の入ったはしごが時代を感じさせます。

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▲ 突貫工事で作られたのでしょうか、防空監視哨は「乗っているだけ」という印象。

横には柵なども無く、一歩踏み外したらサヨウナラ。高い所が苦手な人は気を失いそう・・・。スリルあります。怖すぎて思わず這うように移動しました。

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▲ 幅:約2メートル・高さ:約2メートルで小さいです。

人が2人 入れるぐらいの広さです。

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▲ コンクリートで作られたシンプルなもので、経年による劣化が進んでいます。

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▲ 材質も荒く、手で触るとポロポロと崩れ、当時の切迫した様子が伝わってくるようでした。

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▲ 防空監視哨から小倉市内を見渡してみました。

遠くに小倉城の天守が見えます。昔はこの方角に兵器工場が広がっていました。

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「北九州市の文化財を守る会」の菊池さんによると監視にあたっていたのは軍人だけでなく一般の人も動員されていたそうです。

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かねやす百貨店は1952年(昭和27年)の魚町周辺に発生した火災で打撃を受け、更に競合の井筒屋、玉屋の勢いに押されたことで昭和29年(1954年)に閉店したそうです。

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▲ かつてここから監視を行っていた人はどのような気持ちで町を眺めていたのでしょうか。

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▲ 小倉の街並みを普通に歩いていても戦争をイメージさせるものはほとんどありませんが、こうやって当時を思わせるものが残っているのは驚きです。

戦争の記憶を伝えていくための貴重な遺構です。

Y氏(山田全自動)
ふるほん住吉店主:Y氏(山田全自動)
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福岡で古本屋「ふるほん住吉」の店主をしつつ、ブロガー/イラストレーター/執筆業などをしながら自由気ままに暮らしています。著書:福岡路上遺産(海鳥社)、福岡穴場観光(書肆侃侃房)、山田全自動でござる(BOOKぴあ)など
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