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福岡城の攻め方

福岡城は古地図や絵図が残されていることで、どこに何があったかがおおよそはっきりしています。

当時はお城の内部情報に関しては超トップシークレットでしたのでこれらの資料はごく一部の人しか見ることができなかったわけですが、今では誰でも見ることができます。

複数の資料を組み合わせて確認することで、福岡城がどのような構造であったかが鮮明にわかってきます。

つまり、福岡城を攻め落とすためにはどういった経路で進んでいけばよいかということが丸裸になってしまうのです。

今回はそんな福岡城の弱点を、古地図、絵図、模型などをもとに追求して行きたいと思います。

城内に侵入するにはどこからがよいか【北側の2本の橋から侵入】

▲ まず古地図で福岡城内に侵入する経路を考えてみたいと思います。(※ 地図は「古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み」【海鳥社 宮崎 克則、福岡アーカイブ研究会 編】より引用)


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▲ お城は現在の場所で言うと、陸上競技場などがある所ですね。

▲ お城北側の2本の橋から侵入するのはどうでしょうか。ちょっと検証してみましょう。

▲ まず、お城北側には数多くの武家屋敷が立ち並んでいます。(福岡城を北側から見たところ)

模型で見るとよく分かるのですが、渡る前にも渡った後にも屋敷が数多く立ち並んでいます。(※「福岡城むかし探訪館」に展示されている模型)

こんなにたくさんの屋敷の中を正面突破するのはちょっと無謀です。

▲ 運良く橋を渡りきったとしてもこのような石垣に囲まれたスペースに入っていかなければなりません。

3方向から鉄砲や弓、石などで攻撃されてしまいます。もちろん背後からの攻撃もあるはずです。

▲ 木製の橋と城門がまだあった時代の古写真です。(※福岡城の案内看板より引用)

石垣の少し上あたりに等間隔で四角い穴が開いているのが見えますね。

この穴から鉄砲や弓矢で攻撃するのだそうです。

▲ 北側の橋は2本とも同じような構造ですので、ここから攻め入ることはちょっと難しそうです。

城内に侵入するにはどこからがよいか【堀から舟で侵入】

▲ では、お城の西側の堀から舟に乗って侵入するというのはどうでしょうか。

▲ この堀に入っていくためにはグルっと海の方までまわって、現在のヤフードームあたりから細い川を通って行かなければいけません。

細い川なので左右から鉄砲で銃撃されたらひとたまりもありませんね。

そもそも、常に外国船への警戒をしていたはずなので不審な舟はすぐに発見されてしまうと思われます。

運良く警戒網をくぐり抜けて堀に入れたとしても水深がそれほどないため座礁してしまう可能性大です。

やはり西側から舟でというのは難しいです。

城内に侵入するにはどこからがよいか【東側の堀から泳いで侵入】

▲ 東側の堀を泳いで侵入するというのはどうでしょうか。

▲ 堀の幅は50〜100メートルほど、深さは150cm〜200cmほどあったと言われています。

写真はお城北側の現在の堀の様子です。

これより若干広い幅の堀が東側(現在の中央体育館・中央図書館近辺)まで続いていました。

そこを何十キロもある鎧を着た状態で、しかも鉄砲や弓矢が飛び交う中で泳いでいくというのは至難の業です。

もし運良く泳いでたどりつけたとしても、ぬかるんだ土塁が待っています。


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▲ 土塁はストリートビューでも確認できますね。

福岡地方裁判所の横や、中央体育館と中央図書館の裏などにじっとりとした土塁が残っています。(この前、ここで20cmぐらいあるウシガエルを見ました。。。それぐらいじっとり湿っています)

ここをびしょびしょに濡れた状態で、重い鎧を着て、スパイクもない足で登るのは困難です。

一説によると土塁に水をまいてあえてぬかるんだ状態を作っていたとも言われています。

東側の堀を泳いでというのも難しいようですね。

城内に侵入するにはどこからがよいか【南東部の追廻橋から侵入】

▲ お城の南東部にある追廻橋、実はここが福岡城の弱点ではないかと考えています。

現在の護国神社や美術館駐車場付近ですね。

この橋は馬などを城内に入れるために利用されていた橋だと言われています。

物資搬入口のようなものですね。

▲ この部分だけ堀の幅が非常に狭くなっています。

しかも、この近辺は城内、城外ともに屋敷の数も少なく、手薄になっています。

さらに中核部分である本丸もここから近い場所にあります。

▲ 古写真も残されていますが、架かっている橋も非常に短いです。(※写真は「思い出のアルバム 博多、あの頃(葦書房)」より引用)

▲ 橋を再現したものが現在もあります。

橋が架けられている場所、方向こそ違うものの、こちらとほぼ変わらない規模の橋であったと思われます。

万が一、橋を崩されたり燃やされたりして渡れなくなったとしても、周囲の石垣を崩して堀に投げ込めば簡易的な「渡し」のようなものは容易に作れそうです。

ここを突破口に城内に侵入したと仮定し、次は本丸攻略をシュミレーションしてみたいと思います。

ーーー次回につづきますーーー

【参考文献】
・古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み(海鳥社 宮崎 克則、福岡アーカイブ研究会 編)
・思い出のアルバム 博多、あの頃(葦書房)
・福岡城の案内看板
福岡城むかし探訪館の展示品

Y氏(山田全自動)
ふるほん住吉店主:Y氏(山田全自動)
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福岡で古本屋「ふるほん住吉」の店主をしつつ、ブロガー/イラストレーター/執筆業などをしながら自由気ままに暮らしています。著書:福岡路上遺産(海鳥社)、福岡穴場観光(書肆侃侃房)、山田全自動でござる(BOOKぴあ)など
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