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動植物園内の園外

動植物園内なのに園外な場所。

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▲ 福岡市動植物園は非常に複雑な地形の上に築かれている。

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▲ 周辺はくまなく道が整備され宅地化されているため、市民はあまり「山」という認識を持っていないが、動植物園のある山は「大休山」という立派な名前が付けられている。坂を越えてきた木こりが荷物をおろして休む場所だったことが名前の由来とも言われている。

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▲ 儒学者の貝原益軒は「筑前国続風土記」の中で大休山を景勝の地として絶賛している。現在より海岸線が近く、海や城を目下に望む光景はそれは美しかった事だろう。

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▲ 動植物園横の南公園には飢人地蔵菩薩が残されている。これは享保の飢饉の際、福岡城下で行なわれた炊き出しを目指したが大休山を越えられず力尽きた人を弔うために建立されたものである。このエピソードからも動植物園近辺が複雑な地形の「山」である事を確認する事ができる。

そんな複雑な地形の上に築かれた動植物園であるため、園内には様々な場所からアクセスする事ができるようになっている。

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▲ 現在動植物園のオフィシャルな入口は「動物園正門」「植物園正門」「動物園西門」の3カ所である。北の浄水通、西の桜坂山の手通り、南の小笹、いずれの方向から登ってきてもアクセスしやすいようになっている。当然、普通に入場するとなるとこのいずれかの門から入る必要がある。

ただ、複雑な地形がゆえ、入場していないのにほぼ動植物園の中のような場所もある。

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▲ 例えば、桜坂3丁目の金乃比羅神社の付近。かつてこの金乃比羅神社の横には「動物園東門」という出入口が存在していた。

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▲ 東門からの入場者が少なくなった事から閉鎖されたそうだが、現在でも門の跡とチケット売り場の建物がそのまま残されている。

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▲ 東門跡の横には小さな小道があり、ここを進んでいくと猿山の裏まで近づく事ができる。当然、園外であるが、ほぼ園内のような場所だ。特に動物が見えるというわけでもないのだが、料金も払わずに園内にいるような感覚で妙な背徳感を覚える。

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▲ もうひとつが動物園と植物園のちょうど中間部分にあるこの恐ろしく長い階段だ。土産物などが売られている奥村商店の横からまっすぐ、動物園正門から植物園の方に伸びている。

立地的には完全に動植物園のど真ん中にあたるが、チケットを買わずに入れる場所なので一応、ここも園外である。

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▲ 動植物園から数百メートル東に進んだ場所には平尾山荘がある。幕末の女流歌人野村望東尼の旧宅である。

野村望東尼は現在の中央区赤坂に住む福岡藩士浦野重右衛門勝幸の三女として生まれた。幼い頃から和歌などを嗜み、才色兼備な女性として知られていたという。

17歳で福岡藩士郡甚右衛門に嫁ぐが、すぐに離婚。その後、福岡藩士野村新三郎貞貫と再婚し、家督を子供に譲った後、平尾山荘で暮らした。

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▲ 夫の死後、京都へ行った際に日本の様々な動乱を知り尊皇攘夷思想に目覚め、福岡に戻ってからは加藤司書や平野国臣、月形洗蔵といった勤王思想の志士たちと交流を持つようになった。

平尾山荘は木々に囲まれた山中にあったことから勤王思想の志士たちの密会の場として利用されるようになったという。

こういったエピソードからもこのあたりが近世まで山深い場所であったことがよくわかる。

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▲ ある時、平尾山荘で70歳ぐらいの古老の話を伺うことができた。浄水通りで生まれ、今でも浄水通りに暮らす方で、地域の様々な話を聞かせてもらった。

その話の中に、この近辺にトロッコが走っていたというものがあった。非常に興味を持ったので詳しく話を聞かせてもらうと、なんでも、小さい頃このトロッコに勝手に乗って怒られたという思い出があるのだとか。

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▲ 詳細な場所を確認してみると、トロッコがあったのはあの例の階段の場所だった。

70歳ぐらいの人が小さい頃に存在していたということは昭和20〜30年代であろうか。動物園の開園は昭和28年、植物園にいたっては昭和55年の開園である。下手をすると動物園すら開園していない時代になぜそんな場所にトロッコがあったのか。その答えも教えてもらうことができた。

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▲ それはこの場所にかつてあった浄水場だ。昭和51年まで存在した「平尾浄水場」に資材などを運搬するためのトロッコだったのである。

また、この階段は配水管の道の跡でもあるということがわかった。排水管とトロッコが併設されていたのだろう。恐ろしくまっすぐな理由はそのためだったのだ。

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▲ 階段を登った先にはレンガ造りのフェンスがある。これはかつての平尾浄水場の正門跡だ。植物園の敷地内には配水池点検用通路の入口として利用されていた建物も残されている。

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▲ 動物園のリニューアルの際にこの階段も取り壊されるかもしれないと思っていたが、今のところまだ健在なようである。

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Y氏こと山田孝之が福岡のちょっと変わった観光スポットや路上ネタを紹介します。著書:福岡路上遺産(海鳥社)、福岡穴場観光(書肆侃侃房)
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