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古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み

このブログの中でも度々登場してくる著書「古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み」(宮崎 克則 福岡アーカイブ研究会 編/海鳥社)について、改めてもう一度ちゃんと紹介しておきたいと思います。

古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み
宮崎 克則 福岡アーカイブ研究会
海鳥社
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「古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み」は江戸時代末期の1800年頃の福岡市周辺の様子を描いた「福岡城下町・博多・近隣古図」を解説した本です。

この「福岡城下町・博多・近隣古図」は東は筥崎宮まで、西は西新まで、南は谷までを描いた地図です。

江戸期の別の古地図と比較しても格段に完成度が高く、情報量も多いですので当時の福岡の中心部の様子が非常によく分かります。

この本は

・「福博古図」をめぐって
・福岡部
・博多部
・周辺部
・附録

の5つの章で構成されています。

それぞれの章のトピックスと、みどころの解説をしてみたいと思います。

【「福博古図」をめぐって】

・描かれているのはいつ頃の福岡・博多か
├景観からの検討
├家臣の名前からの検討
└描かれた過去

・絵図の「縁」について
├「遠山見渡」
├歌に詠まれた福岡・博多
└陸の道・海の道

みどころ解説

「福岡城下町・博多・近隣古図」がいつ作成されたのかを史実を基に推測しています。この章だけでも「へぇ〜」と思えるトリビア的な話がたくさん出てきます。また、この地図の構成に関しても解説されています。

【福岡部】

・福岡城ー描かれていない統治の中心部
├福岡城の築造
├天守閣の存否
├福岡城の櫓
├御殿
├城内の重臣屋敷
├大堀(大濠)
└その後の推移

・大名屋敷の変遷
├「御家門」が住んだ屋敷
├東蓮寺藩に関わった人が住んだ屋敷
├「旗奉行」が住んだ屋敷
├藩内の政治と屋敷替え
├郡役所ー農政が転換した地
├加藤司書が住んだ屋敷
├修猷館のあった地
├裁判所となった屋敷
└「銀杏屋敷」

・天神町とその周辺
├枡形門
├母里太兵衛の子孫の屋敷
├水鏡天神(水鏡天満宮)
├県庁舎が建てられた地
├「肥前堀」と「紺屋町堀」の南側
├警固宮(警固神社)
├「肥前堀」と「紺屋町堀」の終焉
└天神町の発展

・中・上級藩士の屋敷地・荒戸町
├杉土手
├荒戸通町
├荒戸二番町
├荒戸三番町
├荒戸四番町
├荒戸五番町
├永倉
└紙役所・炭役所

・荒戸山・波戸ー城下防御と景勝の地
├東照宮と源光院
├荒戸山別館
├波戸
└長崎警備

みどころ解説

福岡城内・福岡城下、そして現在福岡市の中心部分となっている天神周辺の当時の様子が解説されています。どこにどんな人達の屋敷があったのかということや、福岡城の堀がどこにあったか、また、どう埋め立てられていったのかなどが明確にわかって興味深いです。

【博多部】

・博多の「流」を再現する
├博多の町割と「流」
├町名の変遷
├博多の町制
└博多周辺の古図の書き込み

・博多の「流」
├東町流
├呉服町流
├西町流
├土居町流
├須崎流
├石堂流
├魚町・厨子町流
└新町流

・「夜明け前」の中洲
├東西の中島橋
├大都市のゴミ問題
├古御船入・浜新地と天保改革
└文明開化の地・中洲

みどころ解説

博多の旧町名の由来や昔どういう町並みであったかを古地図、写真をふんだんに使いながら詳細にわかりやすく解説されています。まだ未開発であった中洲がどういう風に発展していったかなどもわかります。

【周辺部】

・城下を守る砦・唐人町
├唐人町の由来
├唐人町の景観と寺
├西学問所甘棠館と亀井南冥
├藩営の養魚場「簗所」
└桝小屋ノ丁

・足軽屋敷と寺の町・地行
├足軽の町・地行
├西へと続く唐津街道
├名刹が建ち並ぶ西町から樋井川沿い
├鳥飼若八幡(鳥飼八幡宮)
├金龍寺
└浄満寺

・百道松原と西新
├紅葉八幡宮
├百道松原
├元寇の足跡
└中西・大西

・軍事施設が集中していた城南部
├追廻馬場の周辺
├追廻シと追廻シ新屋敷
├六本松
├多くの谷がある大鋸谷村
├弓射場と桜ヶ峰地蔵堂
├栗林
└加藤司書の下屋敷

・海の神の誕生地・住吉
├伝承の神話
├住吉神社
└下照姫神社(吉祥女の社)、管絃橋

・石堂橋・濡衣塚・新茶屋
├石堂橋と西門橋
├濡衣塚
└新茶屋

・千代の松原と崇福寺・筥崎宮
├崇福寺
├箱崎道
├金出道(篠栗道)
├筥崎宮
├馬出
├防塁
├松原の松葉
└東公園

・名島城と立花城の周辺
├香椎・名島の周辺
├立花山と立花山古城
├名島城(名島神社)
├名島・弁天社・妙見島
└地蔵松原・杉山(尊氏陣所)・香椎・御飯山

みどころ解説

普段何気なく通っているあの場所の豆知識が満載といった感じです。全く気にも留めていなかったあの石碑にあんな意味があったとは!というものがたくさんあると思います。

【附録】

・ヨーロッパ製古地図の中の「NIPPON」

みどころ解説

海外の古地図が少し紹介されています。日本、九州がどのような位置づけて考えられていたかが わかっておもしろいです。

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全ページカラーでとても読みやすい本ですのでオススメです!福岡の歴史入門に、そして古地図入門に最適ですよ。

古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み
宮崎 克則 福岡アーカイブ研究会
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Y氏(山田全自動)
ふるほん住吉店主:Y氏(山田全自動)
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福岡で古本屋「ふるほん住吉」の店主をしつつ、ブロガー/イラストレーター/執筆業などをしながら自由気ままに暮らしています。著書:福岡路上遺産(海鳥社)、福岡穴場観光(書肆侃侃房)、山田全自動でござる(BOOKぴあ)など
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