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陸地から潮の満ち引きがわかる簀子(すのこ)石

福岡市中央区の大手門3丁目に簀子(すのこ)小学校と簀子公園があります。


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▲ 場所はこちら。

現在は「大手門3丁目」になっていますが、もともとこのあたりは「簀子町」という地名でよばれていたのだそうです。

▲ 確かに「昭和23年、昭和36年の福岡と現在の福岡(塔文社 レトロマップシリーズ5)」の昭和36年の福岡市外地図でここを確認してみると、「簀子町」と書かれています。

簀子小学校と簀子公園の名前はそのなごりだったのですね。

しかし、この「簀子(すのこ)」という名前、なんだか不思議ですよね。

▲ 「簀子」ってこの簀子のことでしょうか??

福岡市のホームページで名前の由来を調べてみると、下記のように書かれていました。

簀子の町名由来は、この町の北の海中に「簀子石」と呼ばれる大きな岩があったことによるといいます。(福岡市ホームページ [簀子校区] より引用)

▲ なるほど。おそらくこの写真のような鬼の洗濯岩的な形状の岩が町の北部にあって、それが由来になっているのですね。

そして、同ページには下記のようなことも書かれていました。

この岩と地中で続いている簀子石が昭和の初期まで現在の家庭裁判所付近にあり、潮の干満が分かる神秘の石と言われましたが、その後姿を消してしまいました。

おお、そんな面白いものがあったとは!

おそらく原理はこうでしょう。

▲ 横から見た断面図です。

岩が地中で続いていて、一部が陸地から露出した状態になっています。

干潮時は岩が乾いているので、陸地側の岩も乾いている状態です。

▲ それが満潮時になると濡れてくるので、地中の岩を伝わって陸地に露出した部分も湿ってきます。

これで陸地にいながらにして潮の満ち引きがわかるという原理なのでしょう。



そして、福岡市のホームページには陸地側に露出している部分が家庭裁判所の近くにあったということが書かれています。


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▲ 家庭裁判所はこちらの場所です。

▲ いつものごとく、この場所を古地図でチェックしてみると・・・(※ 地図は「古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み」【海鳥社 宮崎 克則、福岡アーカイブ研究会 編】より引用)

▲ おぉ!ちょっとわかりにくいですが確かに「簀子石」と書かれています!

「簀子石」と書かれた上にある小さい丸が簀子石でしょうか?

しかし、福岡市のホームページに書かれていたように、簀子石は家庭裁判所の建築時になくなってしまっているようです。

残念・・・と思いながらなんとなく古地図をながめていると、なんと!古地図にもう一つの簀子石を発見しました!

▲ この場所です。

▲ お堀の中にもう一つの簀子石があったようです!

古地図上での大きさを信用するとしたら かなり巨大です。

おそらく20〜30メートルほどある巨石だと思われます。


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▲ 現在の場所でいうとこのあたりですね。

現在、お堀は埋め立てられて団地になっているようです。

ネットなどで調べてみても この第二の簀子石に関して書かれているものは見当たりません。

かなり巨大な石だったようなのでもしかしたら何らかの痕跡を見つけることができるかもしれません。

現場はうちの事務所からすぐ近くです!さっそく いってみたいと思います。

なんにもありませんでしたーー。

【参考文献】
・古地図の中の福岡・博多―1800年頃の町並み(海鳥社 宮崎 克則、福岡アーカイブ研究会 編)
福岡市ホームページ 簀子校区

Y氏(山田全自動)
ふるほん住吉店主:Y氏(山田全自動)
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福岡で古本屋「ふるほん住吉」の店主をしつつ、ブロガー/イラストレーター/執筆業などをしながら自由気ままに暮らしています。著書:福岡路上遺産(海鳥社)、福岡穴場観光(書肆侃侃房)、山田全自動でござる(BOOKぴあ)など
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