都築響一と巡る「僕的九州遺産」バスツアー感想
都築響一さんの「僕的九州遺産」がイムズのARTIUMで開催されていますが、その関連イベントとして「都築響一と巡る僕的九州遺産バスツアー」というものがありました。
▲ 福岡の知られざる珍スポットや人物を訪ねるバスツアーなのですが、スポットの選定などを少し手伝わせてもらった関係でツアーに同行していろいろな場所を巡ってきました。
▲ 集合は天神の市役所前。
都築響一さんのイベントでありますから、当然バスは福岡が誇る観光バス会社「響観光」。
もはやこのツアーのために作られたようなバスのデザインだな〜。
▲ 福岡市内からバスをビューンと北九州の若松まで走らせ、たどり着いたのがこちらの頼りない看板が入口になっているスポット。
高塔山の展望台裏の狭い道を下りていった場所にある、キャバレーベラミの従業員寮跡「ベラミ山荘」。
[map addr=”福岡県北九州市若松区山ノ堂町16−5”]
▲ 住所:福岡県北九州市若松区山ノ堂町16−5
▲ のっけから、こんな怪しげなDIY感あふれる五重塔?が!
▲ この塔はベラミのオーナー手作りによるものらしく、鳥を飼ってたり茶室があったりしたそう。
▲ こちらが従業員が寝泊まりをしていた寮。
キャバレーベラミは昭和に北九州の若松で隆盛を極めたモンスターキャバレー。
相当な人数の従業員を抱えた店であったため、専用の寮が作られていたのだとか。
しかし、景気の良かった若松も時代とともに廃れ、それに引っ張られるようにキャバレーベラミも閉店。
従業員の寮もそのまま放棄され、タイムカプセルのように当時の姿が残されていたのだそうです。
▲ 残された寮を現オーナーが買取りリノベーションしてアトリエや店舗として貸し出しています。
▲ リノベーションしていると言っても、なにせ広い寮なので手付かずの場所も多く、当時の姿をそのままに残すスペースも。
ここは食堂として使われていた場所。
▲ ここでどんな人がどんな生活を営んでいたのかは、もはや想像する意外に方法がありませんが、ひとつの部屋は昨日まで暮らしていたかのような状態で数十年放置されたままになっていたのだそうです。
家財道具から手記までそのままで忽然と姿を消した様子で。
▲ いったいどんな経緯でいなくなったのか、また、その人は今どこでどうしているのか、生きているのか死んでいるのか、いろいろと考えさせられる空間です。
▲ 和室にシャンデリア。
▲ ハリボテのステンドグラス。
これらは実際にベラミで使われていたものらしい。
▲ こういった昭和な物品を持ち込んだりして、ネオ昭和な空間が作られていました。
▲ この日は特別に寮内に残されていたキャバレー関連の資料が展示されていました。
こういった資料から想像するに、とてつもなく豪華絢爛でエネルギッシュな店舗であったようです。
▲ こちらの大量に飾られたブロマイド写真はベラミに出演していた歌手やバンドや芸人たちの、いわゆるアー写。
厳密に言うと、これらの全員が出演していたわけではなく、イベント会社や芸能の派遣会社からこの人を使いませんか?という感じで写真が送られてきていたのだとか。
▲ 卓抜した想像力をもってしても、これらの人がどんな芸を繰り出していたのかわからない写真も多数。
▲ ひとりひとりにそれぞれの人生や生活があるのかと思うと、なんだか感慨深いものがあります。
▲ こちらはベラミ山荘内で営業するアンティークショップ「ROLLIN’(ローリン)」。
▲ 活かせる部分は活かしてかなり良い感じのレトロな空間になっていました。
▲ 取り扱われている商品はアメリカンなアンティーク雑貨から日本の昭和レトロなものまで幅広い。
▲ 基本的に日曜祝日の営業だそうです。
バスツアーだったのであまりちゃんと見れませんでしたが、こちらはまた行ってじっくり見てみようと思います。
▲ ベラミ山荘のホームビデオを鑑賞などして次に移動。
▲ 次の目的地は水巻町のこちら。
[map addr=”福岡県遠賀郡水巻町伊左座5丁目83”]
▲ 住所:福岡県遠賀郡水巻町伊左座5丁目83
▲ 今年で93歳になるおばあさんが一人で作ったペットボトル風車の花畑。
このサイケデリックな隙間のない色彩感覚。
もはやサージェント・ペパーズの世界。
Capitol (1993-08-02)
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▲ 右側に写るのが作者の永沼さん。
ただ作るだけでなく褪色したものは新たに塗り直したりするなど、定期的なメンテナンスも忙しいとのこと。
このペットボトルの花は完全に独学によるもので、扇風機を分解してみて構造を研究したり、様々な塗料を試してみてどうやったら理想的な色が出せるかなどを日々試行錯誤しているのだそう。
それを受けて都築さんはこれだけクリエイティブなシニアを生み出す日本の年金制度はとても優れていると言っていました。
クリエイティブシニア、たしかに多いですね。
▲ さて、次は南の方へ進んで大野城市の住宅街へ。
これ系のアンテナが低い人であっても、ギンギンにレーダーが反応するであろうこちらのお宅。
▲ 左官職人の三浦辰彦さんによる「三浦鏝絵美術館」。
[map addr=”福岡県大野城市下大利4-7-1″]
▲ 住所:福岡県大野城市下大利4-7-1
▲ 自宅と隣のアパートの地下を改造した私設美術館です。
「鏝絵」とは漆喰(しっくい)を使った日本の伝統的な左官技法。
蔵の壁に鯛や恵比寿などが立体的に描かれているのを見たことがありませんか?アレのことです。
▲ 三浦さんのパッションはそんな枠では収まらず、和洋折衷なんでも描くし、本来のキャンバスである壁さえも飛び出して立体作品にも挑戦しちゃうし、とにかく自由!
▲ 近年では様々な店舗や企業などから鏝絵の依頼があるそうで、なにかと忙しそうな三浦さん。
でも大きな時事ニュース(例えばオバマが黒人初の大統領に就任した とか)があったらそれにちなんだ鏝絵を作ったりするなど、自身の作品づくりは欠かさず行っているそう。
▲ ルーブル美術館に出展した作品など、三浦さんの歴代作品が一堂に会する空間は圧巻です。
▲ ちなみに、基本的に営業は日の出から日が沈むまでだそうですが、夜中でも電気をちゃんと消しさえしてくれれば自由に入館していいそうです。
入館無料、ほぼ24時間営業の太っ腹な美術館です。
▲ 最後はこちら。那珂川町の山の麓にある「不思議博物館」。
[map addr=”福岡県筑紫郡那珂川町西畑1466-2″]
▲ 住所:福岡県筑紫郡那珂川町西畑1466-2
▲ 狭くて急な階段を上がっていくと、なんとも怪しげな鋼鉄の扉が。
▲ ここは造形作家の角孝政さんによる私設博物館で、角さんの造形作品を中心に様々な不思議なものが館内を埋め尽くしています。
ただでさえモノであふれていて狭い館内に30人ぐらいで押しかけたのでなかなかスゴイことに。
▲ 不思議な立体作品の他、不思議博物館のスタッフ「不思議子ちゃん」の写真作品などの展示もあり、1日では見つくせないほどのボリューム。
ここは3回ぐらい行かないとすべてを満喫できないかもです。
▲ そんなわけで福岡の濃〜い場所を巡った1日でしたが、1箇所でさえ見るのに体力を使うスポットに4箇所も行ったもんだから、山登りをした時みたいな疲労感が。
いや、でも本当に良いモノを見たときというのは心がグラグラ揺さぶられるわけだから疲れるものです。
福岡ニューディスカバリーなツアー、700%満喫しました。
僕的九州遺産ホームページhttp://artium.jp/exhibition/2016/16-06-tsuzuki/
僕的九州遺産facebookページ
https://www.facebook.com/MyprivateKyushu/
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