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脱サラして小規模な古本屋を開業した男の顛末【その1:プロローグ〜開業準備】

古本屋を開業した知人

先日、古本屋を開業した知人(以下:Oさん)に会いました。

Oさんは脱サラして古本屋になった人なのですが、実はもう既に廃業してしまったと聞かされました。

準備期間などを考慮すると、だいたい1年ぐらいで廃業してしまったそうです。

開業からやめるまでのお話を聞かせてもらったのですが、これが非常に面白かったです。

廃業してしまった話を「面白い」というのも失礼ですが、実は私も古本が大好きなので、古本屋・古書店を開業しようかと考えていた時期があります。

古本屋はあまり儲からないということは元々知っていました。

古本屋のオヤジでリッチなやつを見たことがあるか と聞かれると、正直、無いです。

それでも、大好きな古本屋という空間をプロデュースできて、しかも起きている時間のほとんどをそこで過ごせるとしたら、あまり儲からなくてもやりたいという気持ちがありました。

そこで、色々な古本屋開業に関する本やネット上の記事など様々な資料に目を通して、開業することが可能かどうかを調べてみました。

結果としては、私には無理だなという判断で古書店の夢はあきらめました。

そして、Oさんの話を聞かせてもらったことで、改めて私には絶対できない商売だなと思いました。

古本屋の開業に興味がある方も それ以外の方もご参考に・・・

本当に参考になる話でしたので、Oさんに許可を得て、その体験談をこのブログで共有させてもらうことにしました。

以下に記したものは古本屋の開業を擬似的に体験できるように、Oさんの体験談をベースに各種資料などで得た情報を織り交ぜつつ構成した創作です。

もし、古本屋・古書店の開業に興味がある方は一度読んでみていただくと少し参考になるかと思います。

古本屋以外の業種にも当てはまる部分が多々あるかと思いますので起業を考えている方も参考になるかもしれません。

※Oさんの話をベースにしていますが、あくまでも創作です。私が想像しながら書いた部分もありますので100%正確な情報・数字ではありません。

※決して、古本屋は絶対やめとけ、という種類の話ではありません。成功するかどうか、儲からなくても続けれるかどうかは人によって大幅に異なるかと思いますのでその点をご理解いただけましたら幸いです。

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もくじ

【その1:プロローグ〜開業準備】←今このページ
【その2:開店初日〜開店3日目】
【その3:開店4日目〜開店22日目】
【その4:開店23日目〜月次決算】
【その5:廃業】

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古本屋の開業準備

あなたは今、脱サラをして古本屋を開業しようとしています。

8年間勤めたIT系の会社を辞め、憧れだった本に関わる仕事で独立する時がやってきました。

大好きな本に囲まれて毎日を過ごす夢の様な日々をあなたは想像します。

うるさい上司に怒鳴られることも、パートさんから愚痴を聞かされることもありません。

自分で自分の商売をプロデュースできる、自由でクリエイティブな あこがれの仕事。

それがあなたの抱いている古本屋のイメージです。

そして今風にネットショップでの商品展開も構想しています。

IT系の会社でネットショップの営業部門を担当していたので、ネットの知識はバッチリです。

実店舗とネットショップの2つから収益を得ることで経営はきっと起動に乗る、そう考えたのです。

古物商の手続き、協会への加入など諸手続きを済ませ、いよいよ本格的に開業準備に取り掛かります。

開業資金は1000万円を何とか工面しました。

500万円を開業資金としてこつこつ貯めてきた分から捻出、残り500万円を親戚、知人の複数人から融資してもらえ、月々に10万円の返済を予定しています。

まずは物件探し。

坪単価2万円で10坪 家賃20万円の物件をみつけました。

面積は狭いですが家賃を抑えるためには仕方ありません。

保証金などの初期費用が240万円かかりました。

また、搬入・改装等の店舗設備の準備で2ヶ月ほど掛かるため、20万円×2ヶ月=40万円も初期費用として確保しました。

棚・什器・その他備品などはリサイクルで仕入れたり、知人から譲り受けたりして、なるべく費用を抑えましたが、それでも150万円ほどかかってしまいました。

何より大切なのは商品です。

初期に在庫として持つ本の冊数は1万冊を仕入れました。

幅広いジャンルの本を仲介業者に依頼したところ、200万円がかかりました。

新しい店舗は認知度が低いため、宣伝をしなくてはいけません。

チラシやDMなど販促品を準備するのに50万円がかかりました。

また、当面は収入が安定しないことが予測されますのでおおよそ1年間の生活費300万円も確保しました。

これらを合計すると
店舗初期費用:240万円
開店準備期間の家賃:40万円
棚・什器などの備品:150万円
本仕入れ:200万円
販促費:50万円
当面の生活費:300万円
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合計:980万円

開業費用として準備した資金は ほぼなくなってしまったことで若干怖気づきました。

しかし、とりあえず1年間の生活費は確保しているわけだから、1年間はがむしゃらに頑張るのみだ。あなたは自分自身にそうやって喝を入れました。

友人や家族の手を借りながら、2ヶ月ほどで ようやく商品の搬入や陳列・値付けを完了させました。

手伝ってくれた友人への謝礼に3万円を渡し、開業祝いとして飲みに行くこととなり、更に3万円を使ってしまいました。

残高がどんどん少なくなっていく通帳をながめていると少し胃が痛くなりそうでしたが、これからが楽しい毎日の始まりだと思うと、そういった不安も多少やわらぎました。

脱サラして小規模な古本屋を開業した男の顛末【その2:開店初日〜開店3日目】につづく

古本屋開業入門―古本商売ウラオモテ
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Y氏(山田全自動)
ふるほん住吉店主:Y氏(山田全自動)
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福岡で古本屋「ふるほん住吉」の店主をしつつ、ブロガー/イラストレーター/執筆業などをしながら自由気ままに暮らしています。著書:福岡路上遺産(海鳥社)、福岡穴場観光(書肆侃侃房)、山田全自動でござる(BOOKぴあ)など
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